数年前からHSPということばを聞いたり、目にしたりするようになりました。
HSPとは、Highly Sensitive Persons(=非常に敏感な人々)の略。現代社会では、人口の2割程度が該当するとも言われています。
HSPは、豊かな特性もたくさんありますが、音や光、匂いなどの感覚、雰囲気、人の表情や気持ちなど様々な情報に敏感なため、ストレスを感じやすかったり疲れやすい部分があります。わたしのクライエント様やこのサイトを読んで下さる方にも、多くいらっしゃるように感じますので、今日はHSPについて、ご紹介したいと思います。
もくじ
HSPという概念はいつ誕生したの?
HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれもった気質のこと。繊細で周囲の刺激に敏感な性質のことを言います。アメリカの心理学者 エレイン・アーロン博士が提唱しました。
アーレン博士は、小さい頃から騒々しいものや刺激がとても苦手で、大人になってあることで動揺し、心理療法を受けた時、「あなたはとっても敏感だから、動揺して当たり前」と言われ、自分の特徴について深く考えるようになったそうです。その後、そのテーマについての本を探しますがピンと来るものがなく、自ら教えていた大学で、内向的な人に話へのインタビューや電話調査など、数千人を対象に調査しました。その結果まとめあげたのが、『Highly Sensitive Person』という概念です。その研究によるとHSPは先天的な気質であり、どの国でも、15~20パーセント程度の割合でいると報告されました。1996年、『Highly Sensitive Person(邦訳版は2000年:ささいなことですぐ「動揺」してしまうあなたへ)』を出版すると、世界各国で反響を呼び、その後世界各国でも研究が進んでいます。
HSPはそれまで、「内向的」「恥ずかしがり屋」「怖がり」などと呼ばれていた性質の背景にある、感覚処理過敏症に注目したもので、心理的な気質や性格理論だけでなく、脳理論やユング心理学的なスピリチュアルな解釈もとり入れ、総合的な視野の中での敏感さについて述べています。
※ただし、これはある特性を表した心理学的な概念であり、精神医学的な診断ではなく、障害でも疾患でも疾病でもありません。そのため、お医者さんに相談しても伝わらないことがあります。
HSPの特徴は?
HSPの特徴については、簡単にまとめるとこのような感じです。
・些細な刺激を感知しやすい
・深く丁寧に情報を処理する
・外部の刺激に影響を受けやすい
・感情への反応が強く、共感力が高い
・・・ ↓ ↓
・些細なことで感情が乱れたり、疲れたりしやすい
・物事にじっくり丁寧に取り組む
・内向的で内にこもりやすい(ただし、例外として活動的なタイプのHSPもいる)
・人の気持ちや機嫌をきめ細やかに感じるため、疲労感や苦手意識を持ちやすい。
・直感や予感が鋭い
HPSは、生まれつきの性質ではありますが、
敏感さの現れ方は、育った環境によっても変わってくると考えられています。
HSPの「敏感」とは、具体的にどういうこと?
人の脳の働きには大きく分けて
① 外からの情報―受信―脳内処理―認識―身体反応として表出
② 脳内にある情報の処理―認識―表出 があるそうですが
HSPに関しては、①外からの情報、②脳の内側からの情報 ともに受信チャンネルが通常より開かれているため、情報を敏感にキャッチしやすく、かつ過剰に反応するために、神経やホルモンが必要以上に活動し、抑制がきかず、慢性疲労状態に陥りやすいといわれています。
また、未来に新しい刺激を求める「冒険(行動活性)システム」よりも、過去を振り返り刺激を避ける「用心(行動抑制)システム」の働きが強い、または、2つのシステムのバランスがとれていないために、ストレスや怒り悲しみ、恐怖等の感情を持ちやすかったり、残りやすかったりするとも考えられています。
生物学的な見方としては、敏感な気質の者が一定の割合いるのは、子孫を残すために必要なのではと考えられており、実際、ある程度脳の発達した動物(犬、猫、馬、猿など)は全体の15~20%の一定量は敏感、繊細な気質であるそうです。人間についても、このような周りのちょっとした環境の変化にすぐに気づく高感度の人間がいたことで、これまで種を保存でき、文明の進歩にも役立ってきたという考え方もあるようです。
HSPの診断
HSPには、エレイン・アーロン博士と、イルセ・サン博士による2種の自己診断ツールがありますが、このページでは、より簡易なエレイン博士によるものを紹介しますね。
目安としては、以下の項目のうち12項目以上当てはまると、HSPの傾向が高いと言われていますが、当てはまるものが少なくても、それらのことで、強い困難や苦痛を生じるようであれば、HSPの可能性はあります。
□周りの人の気分に、左右されやすい。
□痛みに敏感でガマンできない方だ。
□バタバタした日が続くと、ひとりきりになれる場所に逃げ込みたくなる。
□カフェインの影響を受けやすい。
□強い光や強い匂い、肌触りの悪い服などは苦手だ
□騒音や大きな音がとても苦手。
□豊かな内面生活を送っている。
□本や映画、音楽や写真などに深く感動することが多い。
□いい加減に物事を片づけず、誠実に、きちんと、丁寧にする方だ。
□些細なことでビクッとしやすい。
□短期間に片づけなくてはいけないことが多すぎると、慌ててしまう。
□あれこれ一気に頼まれると、余裕がなくなってイライラしてしまう。
□人が物理的な環境で落ち着かない思いをしている時、すぐに気づく方だ。
□ミスや忘れ物がないように、つねに気を付けている。
□暴力的な映画やテレビ番組は、なるべく見ないことにしている。
□身の周りで色々なことが次々起きると、余裕がなくなり不快になる。
□空腹だと集中力を欠いたり気分が乱れたりしがちだ。
□引っ越し、転勤、結婚等 生活のパターンが変化すると、不安になる。
□香りや味、音や芸術などで、微妙で繊細な違いに気づきやすい。□自分のペースが乱されたり、動揺するような状況はなるべく避けるように生活している。
□人と競争させられたり、見られたりしていると、緊張して普段の実力が出せなくなる。
□子どもの頃、「内気だ」とか「敏感だ」と周囲の大人から思われていた。
HSPが、日常で悩みやすいこと
HSPは、周囲の変化や場の雰囲気、微妙な感情、体の感覚などに敏感になりやすいため
日常の中で、こんな悩みを持ちやすい面があります。(全ての人が当てはまる訳ではありません)
「一度に複数のことを進行できず、頭がごちゃごちゃしてしまう」
「些細なことが気になって、すべきことに集中できない」
「緊張しやすい。初対面や人に注目されている時、ここぞという時に力を発揮できない」
「人の集まるにぎやかな場所に行くと、どっと疲れてしまう」
「大人数の集まりや飲み会が苦手で、非常に辛く感じる」
「世間話や、噂話、よく知らない人と表面的な会話をするのが苦手」
「人の期待に応えたいと、異常に頑張りすぎてしまう」
「いつも疲れたり、だるさを感じたりしている」
「急な予定変更や環境の変化が苦手で、適応に時間がかかる」
「人が怒ったり、人のトラブルを見たりするだけで、気持ちが滅入る」
「私のせいで・・と何かあるとすぐ自分を責めてしまう」
「一旦怒りのスイッチが入ると、止められなくなってしまう」
「苦手な人や状況に合うと、心のシャッターがおり、固まってしまう」
「小さなミスでもひどく動揺したり、クヨクヨしたりして、気持ちの切り替えができない」
「人の気持ちを感じすぎたり、あれこれ考えすぎて、疲れてしまう」
・・・・・↑ ↑
さらに、
「そんな(上記のような)自分が嫌だ、なんで私はこうなんだろう・・」と悩む。
HSPかも・・というあなたへ 伝えたいこと
ここまで読まれて、「わたし、HSPかも?」もしくは、
「あの人、このタイプかも?」って顔が浮かんだ方、きっといらっしゃるのではないかなと思います。
よかったですね!って伝えたいです。
わたし自身も、幼少の頃から苦手なことが多くて(例えば、人が多いところや騒がしい場所で過ごすと、すごく疲れて寝込んでしまうことや、人の機嫌に影響を受けてすぎてしまうことや、いくつものことを並行してすることが苦手なことや、あれもこれもとたくさんのことに気づいてしまい、行動する前から疲れてしまうこと等々・・上記のテストはほぼ、当てはまります)自分は何でこうなんだろうと思うこともありましたし、いつも安心で安全な場所を探しながら生きてきたように思います。
けれど、わたしにはこういう傾向があって、こういうことが好きで苦手で・・そんなことを1つ1つ理解し、受け入れ、自分で自分を労わったり、自分の気持ちを大切にできるようになってきてから、毎日はぐんと楽になってきました。その1つの要素として、HSPという概念を知ったこともとても役に立ちました。
もちろん、わたしたちの苦手や生きづらさは、HSPだけが原因ではなく、いろいろなことが重なっています。けれど、その一つに、生まれつき刺激に敏感な資質があるかもと気づけたことで、自分をより多面的に理解できるようになりました。
また、セッションや講座の中で、繊細な気質のある方からお悩みや辛さを伺うたびに、こんなに豊かで美しい感性を持った方が、「こんなわたしではダメだ」と自分を卑下するのがもったいなくて・・ご自身の素晴らしさを自分で認めて、その方らしさを伸び伸び発揮していきていかれたらなぁと思うのです。
HSPの方にとって、自分にあう場所で、自分らしく過ごしていくことはとても大切なことです。安心して自分でいられることができたら、そのきめ細やかさや穏やかさは、きっと周りの方を癒したり、元気づけていくころになるでしょう。
わたし達は、それぞれ違って、それぞれが素晴らしい存在です。
わたし達がそれぞれ自分らしく過ごせる場所、方法はあります。
どうぞ、覚えていてくださいね。
★HSP・繊細・内向的が楽に生きていくヒント集はこちら
・
※この記事は下記の本&ネットを参考にしています。
(書籍)
『ささいなことですぐ「動揺」してしまうあなたへ』(SB文庫) エレイン・アーロン
『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』(永岡書店) 長沼睦雄
『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』 (ディスカバートゥエンティワン)イルセ・サン
『敏感すぎて困っている自分の処方箋』 (きこ書房)苑田純子
『ひといちばい敏感な子』 (一万年堂出版)エレイン・N・アーロン
『こどもの敏感さに困ったら読む本』 (誠文堂新光者 )長沼睦雄
『The Highly Sensitive Person 』 (エレイン・アーレン公式サイト)
『HSP・エンパス研究所 』 (HSP当事者&研究者 苑田純子さんサイト)
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「繊細で細やかな女性の自己実現サポーター かわのみどり
福祉施設、支援センターなどで12年間相談業務に従事。障がい児・者、家族、高齢者等、2000名以上の人生の転機に関わる。2010年独立。自分に自信がなく、自分より人を優先しがちな優しい女性が、その方らしさを大切に気持ち良い生き方をするためのカウンセリングや各種講座を開催している (自己紹介はコチラ)
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