数年前からHSPということばを聞いたり、目にしたりするようになりました。
HSPとは、Highly Sensitive Persons(=非常に敏感な人々)の略。現代社会では、人口の2割程度が該当するとも言われています。
日本では「繊細さん」と呼ばれたりもしますよね。今日はそんなHSPについて、改めてご紹介したいと思います。
(2017年の記事を加筆したものになります)
もくじ
HSPという概念は、いつ誕生したの?
HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれもった気質のこと。繊細で周囲の刺激に敏感な性質のことを言います。アメリカの心理学者 エレイン・アーロン博士が提唱しました。・
アーロン博士は、小さい頃から騒々しいものや刺激がとても苦手で、大人になってあることで動揺し、心理療法を受けた時、「あなたはとっても敏感だから、動揺して当たり前」と言われ、自分の特徴について深く考えるようになったそうです。その後、そのテーマについての本を探しますがピンと来るものがなく、自ら教えていた大学で、内向的な人に話へのインタビューや電話調査など、数千人を対象に調査しました。
その結果まとめあげたのが、『Highly Sensitive Person』という概念です。
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その研究によるとHSPは先天的な気質であり、どの国でも、15~20パーセント程度の割合でいると報告されました。1996年、『Highly Sensitive Person(邦訳版は2000年:ささいなことですぐ「動揺」してしまうあなたへ)』を出版すると、世界各国で反響を呼び、その後世界各国でも研究が進んでいます。
HSPはそれまで、「内向的」「恥ずかしがり屋」「怖がり」などと呼ばれていた性質の背景にある、感覚処理過敏症に注目したもので、心理的な気質や性格理論だけでなく、脳理論やユング心理学的なスピリチュアルな解釈もとり入れ、総合的な視野の中での敏感さについて述べています。
※ただし、これはある特性を表した心理学的な概念であり、精神医学的な診断ではなく、障害でも疾患でも疾病でもありません。そのため、医師に相談しても伝わらないことがあります。
HSPの特徴は?
HSPの特徴については、簡単にまとめるとこのような感じです。
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・Overstimulated(外部の刺激に影響されやすい)
・
・Emotional reactivity and high Empathy(人の気持ちに反応しやすく、共感性が高い)
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・Sensitivity to Subtleties(少しの刺激も感知しやすい)
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※アーレン博士によると、HSPは、この頭文字をとったDOES(ダズ)全てに当てはまるとのことです。
・・・ ↓ ↓
・些細な刺激や変化で、圧倒されたり疲れたりしやすい
・物事にじっくり丁寧に取り組む
・内向的で内にこもりやすい(ただし、例外として外交的で活動的なタイプのHSPもいる)
・人の気持ちや機嫌をきめ細やかに感じるため、気づかれしやすい
・直感や予感が鋭い
・
HPSは、生まれつきの性質ではありますが、
敏感さの現れ方は、育った環境によっても変わってくると考えられています。
HSPの「敏感」とは、どこからくるの
人の脳の働きには大きく分けて
① 外からの情報―受信―脳内処理―認識―身体反応として表出
② 脳内にある情報の処理―認識―表出 があるそうですが
HSPに関しては、①外からの情報、②脳の内側からの情報 ともに受信チャンネルが通常より開かれているため、情報を敏感にキャッチしやすく、かつ過剰に反応するために、神経やホルモンが必要以上に活動し、抑制がきかず、慢性疲労状態に陥りやすいといわれています。
また、未来に新しい刺激を求める「冒険(行動活性)システム」よりも、過去を振り返り刺激を避ける「用心(行動抑制)システム」の働きが強い、または、2つのシステムのバランスがとれていないために、ストレスや怒り悲しみ、恐怖等の感情を持ちやすかったり、残りやすかったりするとも考えられています。
生物学的な見方としては、敏感な気質の者が一定の割合いるのは、子孫を残すために必要なのではと考えられており、実際、ある程度脳の発達した動物(犬、猫、馬、猿など)は全体の15~20%の一定量は敏感、繊細な気質であるそうです。人間についても、このような周りのちょっとした環境の変化にすぐに気づく高感度の人間がいたことで、これまで種を保存でき、文明の進歩にも役立ってきたという考え方もあるようです。
HSPの診断ツール
では、わたしは、HSPなんだろうか?
気になる方もいらっしゃると思いますので、簡単にできる
エレイン・アーロン博士による自己診断ツールをご紹介しますね。
2~3分でできる簡単なテストです。
(※記載には許可を頂いております)
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HSPが、日常で悩みやすいこと
HSPは、周囲の変化や場の雰囲気、微妙な感情、体の感覚などに敏感になりやすいため
日常の中で、こんな悩みを持ちやすい面があります。(全ての人が当てはまる訳ではありません)
「一度に複数のことを進行できず、頭がごちゃごちゃしてしまう」
「些細なことが気になって、すべきことに集中できない」
「緊張しやすい。初対面や人に注目されている時、ここぞという時に力を発揮できない」
「人の集まるにぎやかな場所に行くと、どっと疲れてしまう」
「大人数の集まりや飲み会が苦手で、非常に辛く感じる」
「世間話や、噂話、よく知らない人と表面的な会話をするのが苦手」
「人の期待に応えたいと、異常に頑張りすぎてしまう」
「いつも疲れたり、だるさを感じたりしている」
「急な予定変更や環境の変化が苦手で、適応に時間がかかる」
「人が怒ったり、人のトラブルを見たりするだけで、気持ちが滅入る」
「私のせいで・・と何かあるとすぐ自分を責めてしまう」
「一旦怒りのスイッチが入ると、止められなくなってしまう」
「苦手な人や状況に合うと、心のシャッターがおり、固まってしまう」
「小さなミスでもひどく動揺したり、クヨクヨしたりして、気持ちの切り替えができない」
「人の気持ちを感じすぎたり、あれこれ考えすぎて、疲れてしまう」
・・・・・↑ ↑
さらに、
「そんな(上記のような)自分が嫌だ、なんで私はこうなんだろう・・」と悩む。
HSPかも・・というあなたへ 伝えたいこと
ここまで読まれて、「わたし、HSPかも?」もしくは、
「あの人、このタイプかも?」って顔が浮かんだ方、きっといらっしゃるのではないかなと思います。
知ることができて、よかったですね!って伝えたいです。
わたし自身も、幼少の頃から苦手なことが多くて(例えば、人が多いところや騒がしい場所で過ごすと、すごく疲れて寝込んでしまうことや、人の機嫌に影響を受けてすぎてしまうことや、いくつものことを並行してすることが苦手なことや、あれもこれもとたくさんのことに気づいてしまい、行動する前から疲れてしまうこと等々・・セルフテストは、ほぼ全て当てはまります)自分は何でこうなんだろうと思うこともありましたし、いつも安心で安全な場所を探しながら生きてきたように思います。
けれど、わたしにはこういう傾向があって、こういうことが好きで苦手で・・そんなことを1つ1つ理解し、受け入れて、自分のケアをしていく中で、毎日はより楽になってきました。その1つの要素として、HSPという概念を知ったこともとても役に立ちました。
もちろん、わたしたちの苦手や生きづらさは、(そしてこれを読んでくださっているあなたの苦手や生きづらさも)HSPだけが原因ではなく、これまで生きてた環境や、経験、物事の捉え方、考え方、その時の調子など、いろいろなことが重なって出ているものです。けれど、その一つに、生まれつきの気質があるかも?と気づけたことで、自分をより多面的に理解できるようになりました。
また、セッションや講座の中で、繊細な気質のある方からお悩みや辛さを伺うたびに、こんなに豊かで美しい感性を持った方が、「こんなわたしではダメだ」と自分を卑下するのがもったいなくて・・ご自身の素晴らしさを自分で認めて、その方らしさを伸び伸び発揮していきていかれたらなぁと思うのです。
HSPの方にとって、自分にあう場所で、自分らしく過ごしていくことはとても大切なことです。安心して自分でいられることができたら、そのきめ細やかさや穏やかさは、きっと周りの方を癒したり、元気づけていくものになるでしょう。
わたし達は、それぞれ違って、素晴らしい存在です。
それぞれが、自分らしく生きていくことができます。
どうぞ、覚えていてくださいね。
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さて、ここで、1つ、お知らせです。
2024年3月、HSP・繊細さんのための特集コラムをお届けします。
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繊細さん特集 2024年3月25~予定
【1通目】辛いグルグル思考はどうして起こる? 楽になる2つのコツ
【2通目】こんなに気を遣ってるのに、人間関係が上手くいかないのはなぜ?
【3通目】あれこれ考えすぎて進めないとき、見てみるとよいこと
【4通目】人といても寂しい、分かってもらえない、辛い孤独感を楽にするには?
【5通目】悩みや生きづらさを抱えている繊細さんは、幸せののびしろがたくさんある方です!
※内容は、多少変更する可能性もございます
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※この記事は下記の本&ネットを参考にさせていただきました。
『ささいなことですぐ「動揺」してしまうあなたへ』(SB文庫) エレイン・アーロン
『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』(永岡書店) 長沼睦雄
『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』 (ディスカバートゥエンティワン)イルセ・サン
『敏感すぎて困っている自分の処方箋』 (きこ書房)苑田純子
『ひといちばい敏感な子』 (一万年堂出版)エレイン・N・アーレン
『こどもの敏感さに困ったら読む本』 (誠文堂新光者 )長沼睦雄
『The Highly Sensitive Person 』 (エレイン・アーレン公式サイト)
『HSP・エンパス研究所 』 (HSP当事者&研究者 苑田純子さんサイト)
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繊細な女性のこころのサポーター かわのみどり
福祉施設、支援センターなどで、相談援助職に12年従事。2010年独立。繊細で生きにくさや孤独感を感じている女性がありのままの自分を肯定すること。その方らしい豊かな人生を育てていくことのお手伝いをしています。(自己紹介はコチラ)
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