トラウマ(心的外傷)ということば、聴かれたことありますか?
トラウマとは、何らかのショックな体験をけて、その影響が心にも身体にも長く残るような体験のこと。
トラウマは、わたしたちの誰もが抱える可能性のあるものです。今日は、トラウマについての基本的な知識をお話しますね。
トラウマの原因になること
トラウマは、個人で対処できないほどの圧倒されるような体験によってもたらされる、心の傷つきのことです。
災害や事故など生命の危険を感じるようなできごとはもちろんですが、誰もが体験するようなできごとや、育った環境の中で、安心感を感じられなかったり、繰り返し辛い出来事にあうことでも起きると言われています(複雑性トラウマ・発達性トラウマ)。また、辛い目に合っている人を目撃することでも起こることがあります。
トラウマの原因になりやすいことを挙げてみますね。
●自然災害、事故、事件
●虐待体験、性被害
●重く苦痛を伴う病気、けが、入院、手術
●事故・災害など辛い出来事を目撃すること
●家族や身近な人をショッキングな形で亡くすこと
●親から否定されること、関心を向けられないこと
●兄弟間の扱いに格差をつけられること
●親からの過干渉、勉強やスポーツなどを無理強いされること
●学校でのいじめ、仲間外れ、辛い場面を目撃すること
●職場でのハラスメント、超過労働 など
※出生時や幼少期の体験。乖離が起こるほどの辛いトラウマなど本人の記憶に残っていないことも多くあります
トラウマにより心身に起きること
圧倒されるような辛い経験をした、わたしたちの身体や心には、いろんなことが起きてきます。
これらの反応や辛い感覚は時間と共に消失することもあれば、長く残ることもあります。
よくあるものをあげておきますね。
●嫌な感覚をありありと思い出す(再体験)
何かのきっかけで、過去の辛い体験を、今まさに起きているかのような感覚で体験したり、悪夢を見ます。そのときの感覚、感情、思考をもう一度体験しているかのようにまざまざと思い出されるため、とても辛い感覚になります。
●避けたいものが増える(回避)
辛い出来事を思い出させるような場面や場所、人などを、意識的、無意識的に避けるようになります。それにより、行動が制限されたり、楽しみが少なくなったりしてしまうかもしれません。
●感じない(麻痺)
危険をさけるために、辛い出来事をめぐる記憶を自分から切り離そうとします。でも、トラウマ記憶だけを切り取ることにはならないため、徐々に自分が感じる様々な感覚まで切り離されてしまい、「空がきれいだなぁ」「会えなくても、あの人は私のことを思ってくれているんだなぁ」なとどいう、細やかな季節感や幸福感、あたたかなつながりの感覚なども、薄くなってしまうことがあります。
●神経がたかぶる(過覚醒)
脳が危険を避けるために、神経がピリピリとたかぶり、何かとイライラしたり、焦ったり、少しのことでビクッとしたりします。また眠りにつきにくかつたり、集中できにくくなったりもするかもしれません。
また、繰り返し発生する出来事によるトラウマ(複雑性トラウマ・発達性トラウマ)では、上記に加えこのようなものも出やすいです。
●自分の感情に振り回される(感情調整が苦手)
ちょっとしたきっかけで、恐怖や不安、悲しみ、罪悪感などが出てきて、それがなかなか収まらないこと。
何かのひょうしに怒りや悲しみなどが、激しく出てきて、コントロールできなくなる。自分の気持ちが分からないなどの感覚を感じることがあります。そのことで、人間関係が上手くいかなかったり、喜びや楽しさが感じられにくくなるかもしれません。
●自分がダメだという感覚(自己嫌悪、自己否定、恥)
私は人と違って、どこかおかしい、ダメだ、劣っている、人に分かってもらえない。自分の存在自体が恥ずかしい…という感覚です。この存在自体を恥ずかしいと感じるような感覚は、思考ではなく身体の感覚にしみついているので、いくら周りの人に「そんなことないよ」と言われても、信じられないかもしれませんし、何かあると、いつも自分のせいだと責めて辛くなるかもしれません。
●人への不信感(人が怖い、人に頼れない、人間関係が上手くいかない)
人との距離感や付き合い方が分からずに、近づきすぎたり、壁を作ったりして、人間関係がなかなかうまくいかない面があるかもしれません。また、人は怖いものだ、裏切るものだ、守ってくれない…そんな感覚から、なかなか人に心を開けなかったり、信じれない面があるかもしれません。それにより孤立して、いつも一人でがんばったり、抱え込みやすくなるかもしれません。
●繰り返す身体の不調
トラウマにより、脳・自律神経系の調整機能が上手く働かず、内科的、整形外科的な不調も起こしやすいと言われています。頭痛や微熱、腹痛、慢性的な不眠、めまい、自律神経失調症など、いつも疲れていたり、身体の調子が悪かったりということがあるかもしれません。
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トラウマの辛さを楽にするために
ここまで、書いてきて、クライエントさんのこと、わたし自身のことも、いろんなことを思い出して胸が熱くなりました。
このようなことを抱えながら、しかも周りの人に言えない、分かってもらえない中で、日常生活を送っていくというのはとても大変で辛いことですよね…
トラウマを抱えながらこれまで生きてきた、そして今も、日々がんばっているあなたを心から尊敬します。
でも、落胆しないでくださいね。
□自分自身の心と身体に何が起きているのかを観察・理解していくこと
□自分を大切にするセルフケアの方法を身につけていくこと
□安心や喜びを感じられる場所や時間を増やしていくこと
□安全であたたかな人との関係を育てていくこと(まずは、1人でもいいです)
そのようなことに取り組んでいくことで、
トラウマの辛さは楽にしていくことができます!
そして、より豊かにあなたらしく生きていくことができます。
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トラウマというのは、
異常な出来事に対する、心身の正常な反応 と言われています。
つまり、あなたは何一つ悪くないし、おかしくもないということ。
おかしいのは、あなたに起こったできごとの方なのです。
それだけは、どうぞ、忘れないでくださいね。
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※この記事は、わたしの経験や学びを元に、以下の本も参考にまとめさせていただきました。
『身体はトラウマを記憶する』ベッセル・ヴァン・デア・コーク
『その生きづらさ、発達性トラウマ?』花丘ちぐさ著
『トラウマ・ケア』白川美也子
『子どものトラウマがよく分かる本』白川美也子
『トラウマによる解離からの回復』ジェニーナ・フィッシャー
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繊細な女性のこころのサポーター かわのみどり
福祉施設、支援センターなどで、対人援助職に12年従事。2010年独立。繊細で生きにくさや孤独感を感じている女性がありのままの自分を肯定すること。その方らしい豊かな人生を育てていくことのお手伝いをしています。(自己紹介はコチラ)
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