もくじ
「うつ病、どうやって治しました?」
わたしが、うつ病を経験していることから
「どうやって、治したのですか?」
「再発しないために、できることはありますか」
そんな質問を時折いただきます。
ちなみに、一言で「うつ」といっても、病名も症状も様々です。
・他の病気などからくるうつ状態
・心因性のうつ病(典型的うつ病、大うつ病)
・神経症性うつ病
・非定型のうつ病(軽症うつ・新型うつ)
・気分変調症のうつ症状
・躁うつ病のうつ症状 など
なので、最初に、わたしの経験がすべての人の役に立つとはいえないことをお断りしておきたいです。
・
ただ、うつ病、うつっぽくなる方の多くには、共通する部分もあるように感じます。それは、「こうすべき」、「こうあるべき」という理想が高く、それに自分を合わせようとしすぎること。自分より周りを優先しすぎたり、人目を気にしすぎて、心身のエネルギーを消費しやすいこと。思考で自分をなんとかしようとしがちなこと。
なので、うつを根本的に回復するために大切なのは、こころと体とつながり直すこと。症状が重いときは、薬が役立つこともありますが、あくまで対症療法的なものだと感じます。
わたしの経験から、うつの改善に役立ったと思うことを、順にご紹介しますね。
しっかり休んだこと
わたしは、心因性のうつ病で2回療養生活をしましたが、まず何より大切だったなと感じているのは、休むことです。最初のうつ病の際は、薬を飲みながら、しばらく仕事に行っていましたが、どんどんきつくなり、ある朝、全く起き上がれなくなり、結局、多方面の方に迷惑をかけることになりました。
辛いと思ったら、できるだけ早くしっかり休む。
うつになる方は、「休むこと」や「頼ること」が苦手な方が多いです。
がまんを重ねてもっとひどくなって回復に時間がかかったり、周りに迷惑をかけるという方向から考えてでも、なんとか、早めに休むという選択をとれたら。できるだけ、心も休められたらいいなと思います。(体を休めていても、自分を責めつづけていたら、休養にはならないですので)
ちなみにわたしの初期症状はこんな感じでした。
・夜なかなか眠れないかと思えば、休みの日に1日中寝ていてもまだ眠い
・今まで普通にできていた仕事が、とてつもなく難しく感じ、時間が異常にかかる
・職場に行く途中などに、突然ボロボロ涙が出てくる
・お店に入っても何を買っていいのかわからなくて、途方に暮れる
・首や背中が辛く、おもりを背負っているような感覚がある
・のどに糸がからまっているような違和感がある
これらをがまんしていると、ある日動けなくなる。というパターンでした。
「この位なんとか…」と思わないで。いつもと違うと感じたら、できるだけ休んで労わってあげてくださいね。(うつ病でなかったとしても、大切なことです)
カウンセラーに、とことん話を聴いてもらったこと
1度目のうつ病から回復して数年後、2度目のうつになりました。
無理をしすぎないでおこうと、自分なりに心がけてはいたのですが、責任ある仕事をはじめると「頑張らなくては」「もっとこうしなければ」「人に迷惑をかけてはいけない」と自分を後回しにして、仕事にエネルギーをとことん傾けてしまう。その癖は変わりませんでした。
薬を飲んで休むだけでは根本的な解決にはならない。自分のこの生きづらさを理解し、変えていきたいと思ったときに、カウンセリングを受けてみることにしました。
動くのがきつかったので、メールや電話でしてくださる方を探し、1年半あまりと、その後も不定期でカウンセリングを受けてきました。
それまで、わたしは、相談援助職や、カウンセラーの勉強をしながらも、人に心を開けないところがありました。幼少期から大人になるまで一人抱え込んできたいろんなことは、心の深い部分の傷と複雑につながっていて、どこからどう話していいかも分からなかったし、人にはとうてい分かってもらえないと思い込んでいたのです。けれど、過去の痛みや苦しみ、矛盾したいろんな気持ちをカウンセラーさんに、大切に、味方になって聴いてもらうことができて、驚くほど救われました。
自 分のことを一人でも分かってくれる人がいる。本当に話したいことを話せる人がいるというのはこんなに救いと支えになるのだと感じました。真っ暗な海を、一人ぼっちでさまよっていたときに、灯台をみつけたかのようなすごい安堵感がありました。
それまでのわたしは、どこかで、「自分が悪いからあんな目にあったんだ」「自分は劣った人間だ」「こんなわたしは幸せになれるわけがない」と思いこんでいました。でも、そうではなかった。わたしも、わたしなりにがんばってきたし、もっと幸せになっていい。幸せになれるのだと気づけたこと、そのために、できることを一緒に探し、広い視野で見守ってくれる人ができたことは、その後の人生がぐるりと変わるくらい、大きなことでした。
もちろん、周りの友人や家族に話を聴いてもらうのもよいことですが、どうしても遠慮したり、話しにくい部分がある方も多いと思います。お互いに苦しくなることもあるかもしれません。そういうときは、プロの力を借りてみることはお勧めしたいです。
できないわたしを、受け入れてもらえたこと
2度目のうつ病の際、動けなくなり、何もせず、長い間ダラダラしたこと(心の中はとても苦しかったですが)それを、カウンセラーだけでなく、周りの人に受け入れてもらえたことも大きなことでした。
涙ながらに話をきいてくれる友達。毎日差し入れをしてくれる彼。「大丈夫だから。何も心配しないでね」といってくれる職場の方達… それまでのわたしは、「役に立たないと生きていてはいけない」「ダメなわたしは、嫌われる」と無意識で思い込んで、そういう自分を人に見せることを何より恐れていました。でも、役に立たなくても、何かができなくても、ダメダメでもだいじょうぶだった…。
それを体験できたことで、わたし自身も、弱かったり、楽をしたかったり、本当はがんばりたくなかったり、という 今まで心の奥に押し込めていたものを少しずつ見つめたり、許せたりできるようになってきたのです。そのことで、新しい働き方や環境にも自分を開いていきやすくなった気がします。
書くこと(認知療法・ジャーナリング・表現)
休んでいた時期、少しずつ起き上がれるようになって、自分で1つだけ決めてしていたのがノートに書くことでした。一行でもその日の気持ちを書く。 気持ちや体調を点数であらわす。それを繰り返しているたびに、「こんなに辛くても、0点ではないんだな。」「調子が落ちたと思っても、しばらくしたらまた戻るんだな。」そんなことが目にみえることで励みになりました。
もともと書くことが好きなので、調子が上向いてからは、認知行動療法なども参考に、もっと詳しく、自分の気持を書いたり、こういう状況で → こう感じた。 「それは、どういう考えによるんだろう」「それは本当かな?」「他のとらえ方はないかな?」などと、自分について分析することをよくしていました(時間はたっぷりあったので)
そんな風にしていくことで、自分がいかに偏ってものごとをみていたかにも気づけるようになりました。
また、元気になってらからは、これからしたいことや願いを書き出したり、自分をほめたり、自分で自分の味方になる日記をつけていました(これはとてもよかったので、その後、「幸せこころ講座」に取り入れました)
現在も、よくジャーナリング(感じ考えていることをひたすらノートに書きだす)はしていますし、こうやってサイトやブログやメルマガに感じ考えていることを、表現することは、仕事でもありますが、わたしの喜びでもあります。
書くことは、自分を深く知り、人とつながるためになくてはならないことだと感じています。
猫と植物
きっとペットを飼っている人や植物を愛する人には分かっていただけると思うのですが、ペットと植物の存在はわたしを本当に癒し助けてくれました。
2度目のうつが良くなり、けれど、まだ外に出るのは慎重になっていた頃、りょうま(猫)が来てくれました。
「ミーミー」と小さな声で鳴く小さな生き物。はじめて会ったときは、目も開かない赤ちゃんでしたが、ミルクを飲ませ、離乳食をつくり、ウンチを出して… つきっきりで世話をして、りょうまが少しずつ大きくなっていく姿に、とても励まされたました。とにかくかわいくて。愛おしくて。
りょうまが来てくれたことで、生活にも気持ちもぐんと張りと自信が戻ってきた気がします。
また、自宅アパートのベランダにプチ畑をつくったり、植物を育てるようになったことも、日常に喜びを増やしてくれました。ペットや植物が難しいなら、近くの花や樹を眺めたり、話しかけるなどだけでも、エネルギーをもらえると思います。(ただし、うつがきつすぎるときは、負担になったりもするので、ある程度元気になってからがよいかもしれません)
(今は、こんなに大きくなりました)
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プロによる身体のケア(鍼灸など)
2度の療養のあと、実は2~3回体が動かなくなり「うつっぽいな」と感じた時期がありました。そのとき、わたしがお世話になったのが鍼灸院です。
「これは… 」と感じた時点で、できるだけ休んで無理をしないことと、行けるなら鍼灸にいく。そのことで、薬は飲まなくても、回復することができるようになりました。
鍼灸は、体全体がゆるんで楽になる体感がとてもあります。地元で何十年もしているような年配の鍼灸の先生に定期的にお世話になっていました。あとは、「ソマティック・エクスペリエンシング(トラウマ解消の心理療法)」もしばらく定期的に受けたことで、体が楽な感覚が分かりやすくなりましたし、不定期ですが、信頼できるセラピストさんのボディケアや、ヒーリングを受けることもありました。(現在は、鍼灸や、身体のケアは年に1~2度行くかいかないかくらいです)
人によってしっくりくるものは違うと思います。マッサージや、整体、アロマ、ボディケア、ヒーリングなど、体を整えてくれるものはいろいろあります。施術の種類や技術もちろんですが、その人との相性はとても大切だとおもいます。こころも体も安心してゆるめられる「この人ならいいな、安心だな」と思えるような存在の方に出会えるといいですよね。
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瞑想、ヨガ、食事…身体の声に耳を傾けること
以前は「あれをしなければ、これをしなければ」とか。「人にどう思われるか」など、外のことばかり気にしていたのが、カウンセリングを受けたこと、心身の学びを重ねていく中で、自分の心身に目をむけることができるようになってきました。
「あ、ちょっと疲れてる」「なんか、体が訴えてる」ということに早めに気づけ、ケアをするようになったことで、動けなくなるまでなることは、ほぼなくなりました。
その中でも、瞑想はわたしがとても気に入っているものです。3~4年前からは、毎朝していますが、とにかく頭がすっきりして気持ちがいいし、どんな時も、自分の中の安心な感覚にかえってこれるようになりました。自分の思考にとらわれすぎることも少なくなってきたように感じます。
あと、わたしがうつっぽくなるときは、まず背中が固く重くなります。
なので、寝る前軽いストレッチをして、背中をストレッチポールでほぐすのも習慣です。
2年前からは、大好きな先生にお願いして、ゆるく再開したヨガも心身共にいやされる大好きな時間です。・
子どもが生まれた頃から、食事にも気をつけるようになったのもよかったように思います。
調味料や食材に少し気を配ることで、加工しすぎない、素材のおいしさを感じられるようなものが好きになりました。(でも、あまり神経質にはなりすぎないようにしています)
それ以外にも、「なんか疲れたな」と思ったら無理はしない。
・早寝早起き
・おいしいお茶をのむ
・お風呂にゆっくり入る
・昼寝
・足湯や手湯
・土、植物、自然に触れる
・心地よい音楽
・自由に踊る
・絵を描く
・話をきいてもらう
・定期的なデジタルデトックス
・アーシング
など、 体の感覚に耳を傾け、「よいこと」というより、自分が気持ちいいと思うことをしています。疲れをためないこと、一人の時間を持てることが、わたしにとっては大切だなと感じています。
好きなこと、心惹かれることを、選択できるようになったこと
最後にあげたいのが、
「幸せだと感じる日々を、自分で作っていこう」と決めたことです。
前職の福祉の仕事は、人の役に立つ仕事で「よい仕事をしている」と自分でも思っていました。が、わたしの本当の気持ちは、一人一人の利用者さんとじっくり向き合いたいのに、スピードや膨大な事務作業におわれることや、周りの殺伐とした雰囲気が辛くてたまらなかったのでした。
立派な仕事でなくても、収入が少なくても、自分がしたいことをして生きていこう。
そう決めて、心理療法や心身のケアはもちろん、ビジネスや、量子力学、ヨガ哲学など、その都度心惹かれることを学んだり、一つ一つしたいことをしていくようになったことで、人生はぐんと楽しくなり、豊かな出会いも運んできてくれました。
本当に話したいことが話せ、分かち合える友達ができました。
出会えてよかったと思えるクライエント様や講座の受講生さんに会えました。
大切な 家族ができました。
心にあたためていた気持ちよい、カウンセリングルームもできました。
そんな風に過ごしているうちに
「うつになれたことは、ありがたいことだったのだなぁ」
と思えるようになったのです。
*
今、これを読んでいるあなたが、
うつや心身の不調で苦しんでいるとしたら伝えたいです。
あなたのペースでよくなるから。
安心して体を休めて、
これまでがんばってきたご自身を
しっかり労わって抱きしめてあげてくださいね。
そして、元気になってきたときには、
こころと体に、「何を伝えたかったの?」って
そっときいてみてください。
その意味に気づけたとき、うつや病気は
あなたにとって、かげがえのないギフトになることでしょう。
【自信を育てるメール講座】
自分に自信がなくて
悩みやすく、落ち込みやすい女性が
自分の内側の声をきき、
こころに安心を育てるための
コツをじっくりお伝えしています。
(うつがひどい方は、まずゆっくりしましょう。
元気になって、心から「してみたいな。」と思ったときにぜひ!)
心の痛みを希望に変えるカウンセラー かわのみどり
福祉施設、支援センターなどで、相談援助職に12年従事。2010年独立。繊細で生きにくさや孤独感を感じている女性がありのままの自分を肯定すること。その方らしい豊かな人生を育てていくことのお手伝いをしています。(自己紹介はコチラ)
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