もくじ
「話したい」という気持ちは、必要だから起きている
カウンセリングの中では、過去の出来事や気持ちについてお話を伺うことは、よくあります。
・これまで忘れていたり、気にしないようにしてきた経験
・誰にもいえずにきた気持ち
・ふと思い出したり、浮かんできたこと
そういうことを話したくなる。聴いてほしくなる。
それは、こころにとって必要だから、起きていることです。
(逆に言えば、話すのがつらい時は無理に話さない方がよいです)
では、過去について話すことには、どんな意味や効果があるのでしょうか。
今日は、3つのことをお話してみますね。
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悩みを楽にするヒントをみつけていくことができる
一つ目は、苦しさや生きづらさを楽にするヒントをみつけられることです。
わたし達は生まれ育った環境の中で、その人なりの価値観や、ものごとの見方や受け取り方。
「こうすべき」「こうしないと危険だ」という無意識レベルの決め事。
人への対応のパターンなどを育てていきます。
悩んだり、迷ったり、上手くいかないことがあるときは、そういう自分に対し、訳のわからなさや、苦しさを感じていることが多いです。
「なんで、こんなこともできないんだろう」
「なんで、これくらいのことで、怖くなっちゃうんだろ」
「なんで、いつも上手くいかないんだろう」
「わたしは、なんでこんなに弱いんだろ。ダメなんだろう」など。
でも、過去を振り返ってみることで、
「こういうことがあったから、あの人を苦手と感じるのもしょうがないな。」
「こういう環境で育ったから、怖くなっちゃうのかも」
「あの経験と今が、無意識の中で重なっているのかも」
など、ヒントや糸口がみえてくるのです。
それに気づいていくことで、訳の分からない不安や自分を責める気持ちが和らいできます。
すると、今の悩みが扱いやすいものになってくるんです。
自分への理解が深まる
二つ目は、自分をより深く理解できること。
わたしたちは、これまでたくさんの経験をして、たくさんのことを感じ、考えてきました。
その場に適応するために、そのときどきで、一生懸命やってきました。いろんなことを感じ、考え、行動してきました。それらを安全な中で、改めて振り返ってみることで、改めて気づけたり、感じられることがあります。
たとえば、
・これまでがんばってきたこと
・心から願ってきたこと、求め続けてきたもの
・とても恐れていたり、避けたいと感じていること
・知らず知らずくりかえしてきたパターン
・自分の中にある力や才能
・支えてくれた人やものの存在
・周りの人の愛情や願い
・背後にある情景や社会的な構造
・命のおおきな流れのようなもの…
「あぁ、わたしって昔からこういう感じあったよな」
「すごく、これを願って、がんばってきたよな」
「こんなものを、周りから受け継いできたんだなぁ」
そんな気づきや理解の中で、自分や人生がより深みのあるものとして感じられるようになります。
心身の重荷が和らぎ、楽になる
3つ目は、長年抱えてきた重荷が和らぎ、心身が楽になること。
「え?どういうこと?」と感じる方も多いもしれませんね。これは、体験していただくと分かりやすいのですが、過去のことを話したり、イメージを思いうかべることで、心身にもいろんな変化があります。
たとえば、カウンセリングの中ではこんなことが起きることがあります。
・ずっと一人で抱えてきた気持ちを共感して聴いてもらえたら、すごく楽になって、先に進みたくなった
・過去のがんばっていた自分を思い出したら、いたわりや慈しみの感覚があふれて胸がいっぱいになった
・小さな頃の自分の純粋な願いやけなげさに触れて、涙がぽろぽろ出てきた
・ずっと反論したかったことを、イメージの中で相手に言ってみたらスカッとして、その後気にならなくなった
なぜ、そういうことが起きるかというと、わたしたちの脳は、頭でイメージしたことも実際に起こったことのように捉えるという習性があるためです。
頭の中、イメージの中で起きたことは、今現在ここにいる身体やこころにも確実に影響してくるのです。
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以上、簡単に上げてみましたが、そんな風に過去のことを話したり、振り返ったり、その後起こることを味わってみる… そんな繰り返しの中で、自分の存在がクッキリしていって、より今と未来を大切に生きられるようになっていきます。
なので、今や未来のことだけでなく、過ぎたことも話してみるって、意味も価値もあることなんですよ!
「過去のことを話すのって、何か意味があるのかな」
「これって、何につながるのかな?」と疑問に感じている方の、参考になればうれしいです。
(注)ただし、ご本人が抵抗や恐怖を感じることをカウンセリングの中で、無理に話していただくようなことはしません。それは、逆に心に負担をかけてしまうことになるからです。トラウマがある方や、思い出すのがつらいことがある方は、思いださなくても具体的に話さなくても、できることは色々ありますので、安心してくださいね。
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繊細な女性のこころのサポーター かわのみどり
福祉施設、支援センターなどで、相談援助職に12年従事。2010年独立。繊細で生きにくさや孤独感を感じている女性がありのままの自分を肯定すること。その方らしい豊かな人生を育てていくことのお手伝いをしています。(自己紹介はコチラ)
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